NO.98 2026年地価公示から導き出される今後の賃貸市場
不動産市場は投資マネーがけん引。価格上昇は次のステージへ突入
2026年3月17日に、国土交通省より2026年の地価公示が公表されました。実需に加えて投資マネーの影響が強まり、地価上昇の質が変化しています。住宅価格の上昇は賃貸需要にも波及し、既存賃貸住宅の活用が重要になっています。
10年以上続く地価上昇
2026年の地価公示は、地域や用途により差はあるものの、全国的に地価の上昇傾向が続く結果となりました。コロナ禍の影響期を除くと2013年頃から概ね上昇基調が続いています。背景には日銀による低金利政策があり、住宅ローンを利用しやすい環境が住宅購入需要を高め、実需を中心に地価を押し上げてきました。
投資マネーの影響が鮮明に
一方で、近年の地価上昇には従来とは異なる特徴も見られます。それが、投資マネーの存在感の高まりです。2026年の地価公示では、東京都心部に加え、北海道や長野県などの観光地でも高い上昇率を示す地点が目立ちました。背景には海外資金を含めた投資需要や、リゾート・宿泊需要への期待があります。
これに対し、2010年代後半頃は、震災からの復興需要や住宅取得需要など、実需に支えられた地域の上昇が中心でした。現在は、「住むための不動産」だけでなく、「資産としての不動産」へ資金が集まる傾向が強まっています。
高額エリアほど上昇しやすい局面へ
実需主導で地価が上昇していた時期では、比較的地価の低い地域の方が上昇率は高くなりやすい傾向がありました。同じ金額が上昇しても、地価が低い地域の方が上昇率は大きく見えるためです。しかし、投資資金が市場をけん引する局面では、資産価値の高い都心部や人気エリアに資金が集中しやすくなります。その結果、高額エリアでも、高い上昇率を示すケースが増えてきました。
実際に東京都内では、住宅地でも年間20%前後の上昇率を記録した地点が見られています。
都心高騰が招く居住地の変化
都心部の新築マンション価格の上昇が続いたことで、購入を断念した実需層が中古市場へ流れました。しかし中古相場も急上昇したため、住宅購入をあきらめる、あるいは様子見に転じる層が増え、結果としてファミリー向け賃貸に需要が移りました。もともと供給が限られていたこともあり、賃料は上昇しています。
都内の家賃水準が高騰したことで、通勤利便性をある程度確保しつつ負担の少ない郊外エリアに目を向ける人が増えています。この動きは今後、郊外の賃貸需要を下支えする見通しです。
賃貸住宅の価値が再評価される時代に
現在の不動産市場は、「実需中心」の局面から、「投資資金も含めた市場」へと変化しつつあります。住宅価格の上昇が続けば、購入ではなく賃貸を選択する層も増えやすくなります。
そのため、今後は都市部だけでなく、条件の良い郊外エリアでも、賃貸住宅の需要が底堅く推移する可能性があります。
一方で、築古物件は、そのままでは競争力を維持しにくくなる点にも注意が必要です。設備更新やリノベーション、断熱性能の改善などを進めることで、競争力を高めることができます。
地価や建築費が上昇する時代だからこそ、「既存ストックをどう活かすか」が、これからの賃貸経営の重要なテーマとなりそうです。
ご注意
※本記事は2026年6月22日時点で作成しています。
