No.97 落ち着いた対応が重要です
「エアコン2027年問題」と賃料減額ガイドラインについて
エアコンは入居者満足度を左右する重要な設備のひとつです。本体価格や工事費の上昇が近年続いていますが、今後は省エネ基準の強化により、これまで比較的安価だったモデルの選択肢が減少する可能性が指摘されています。
背景にあるのは省エネ基準の強化
エアコン2027年問題と呼ばれるのは、経済産業省が進める省エネ法に基づく「トップランナー制度(エネルギー消費機器製造事業者等に係る省エネ法)」です。この制度はメーカー全体のAPF(通年エネルギー消費効率)の平均性能を新基準とする仕組みであり、各社はより高効率な製品を展開することが求められることになります。
家庭用エアコンについては、2027年度を目標年度として省エネ性能基準の引き上げが予定されています。
対象となるのは、主に賃貸住宅でも広く使用されている壁掛け型の家庭用エアコンです。
低価格帯モデル減少の可能性
こうした流れを受け、今後は機能を絞った低価格帯モデルが縮小していく可能性が指摘されています。メーカーには出荷台数全体の平均で基準達成が義務付けられます。
これに伴い、現在賃貸住宅向けとして広く導入されているスタンダードモデルについては、今後の製品構成見直しの中で低価格帯機種の縮小・終売、高効率機種への移行が進むとの見方が広がっています。
工事需要集中への注意
注意したいのは、本体価格だけではありません。更新需要が一定時期に集中した場合、設置工事の繁忙化も懸念されています。特に夏季はもともと工事需要が高まる時期であり、今後、設備更新を前倒しで進める動きが重なると、一時的に工事予約が取りづらくなる可能性があります。
退去後の原状回復時にエアコン交換が必要となった場合、工事日程の確保が空室期間にも影響する可能性があるため注意が必要です。
計画的な更新が重要に
築年数が経過した物件を所有されているオーナーは、一度、設置済みエアコンの製造年や使用状況を確認しておきたいところです。一般的にエアコンは10年前後で故障リスクが高まるとされており、不具合の兆候が見られる場合には、繁忙期を避けた計画的な更新を検討することも有効です。
今後の制度変更を過度に不安視する必要はありませんが、設備費や工事費が上昇傾向にある中では、管理会社や工事業者とも連携しながら、中長期的な更新計画を立てておくことが重要になりそうです。
賃料減額ガイドライン
また、エアコンの故障は入居者満足度が低下するだけでなく、賃貸経営の収益にも影響を与える設備です。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)の 「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」 では、エアコンが作動しない場合、賃料減額割合10%、免責日数3日が目安として示されています。
ただし、同ガイドラインは法的拘束力を持つものではなく、発生した季節や地域、間取り、設置台数などを踏まえて調整するものとされています。万が一の故障時に慌てないためにも、設備の状態確認や更新時期の把握を進めておきたいところです。
ご注意
※本記事は2026年6月15日時点で作成しています。
