No.78 利上げ局面でも慌てないために、オーナーが知っておきたい視点
利上げが賃貸経営に与える影響、購入・運営・売却はどうなる?
日本銀行が金融政策の正常化に踏み出し、長期にわたる超低金利環境は転換点を迎えます。金利上昇が賃貸経営にもたらす影響について、賃貸物件の「購入・運営・売却」という局面から、想定されるプラス点・マイナス点を整理します。
マイナスの影響
物件購入:ローン金利上昇➡利益減少
最も直接的な影響は、ローン金利の上昇です。今後各金融機関が段階的にローン金利を引き上げていく可能性があります。固定金利で借り入れているオーナーにとっては直ちに影響はありませんが、変動金利で借入を行っている場合には、一定のタイムラグを経て返済負担が増加します。これまで低金利を前提に組まれていた収支計画は見直しが必要となり、キャッシュフローが圧迫されるケースも想定されます。新規投資においても、求められる利回り水準が高まり、案件選別はより慎重になるでしょう。
物件の売却:売却環境の選別が進む
利上げは、売却を検討するオーナーにとって逆風となる場面があります。買主側の資金調達コストが上昇することで、投資家はより厳しく利回りを精査するようになります。その結果、売却価格に下押し圧力がかかり、「希望価格では売れにくい」状況が生じる可能性があります。特に、収益性に余裕のない物件や、将来的な修繕負担が見込まれる物件は、買い手が慎重になる傾向が強まるでしょう。
プラスの影響
賃貸需要の下支え効果
一方、賃貸市場にとってはプラスに働く側面もあります。住宅ローン金利の上昇により、持ち家取得を先送りする層が増え、とくに都市部では賃貸住宅への需要が底堅く推移する可能性があります。ファミリー層を中心に、購入よりも賃貸を選択する動きが強まることで、安定した入居需要が期待されます。
家賃見直しが進みやすい環境へ
金利上昇は社会全体に「コスト上昇」を意識させます。物価や人件費の上昇と相まって、家賃についても、物件ごとの差が明確になる局面に入っています。設備更新や性能向上を行っている物件では、適正な家賃改定を検討しやすくなり、収益性の維持向上につながる可能性があります。首都圏のファミリー向け物件では、新築マンション価格の高騰や供給不足を背景に、すでに家賃上昇の動きも見られます。
市場の選別が進み、競争環境が変化
利上げ局面では、過度な借入に依存した投資が難しくなる一方、立地や管理状態、収益性に優れた物件は相対的に評価されやすくなります。市場の選別が進むことで、長期保有と安定運営を志向するオーナーにとっては競争環境が改善する可能性があります。
賃貸オーナーに求められる視点
「金利がある時代」を前提に考える
日銀の利上げは、「ゼロ金利が当たり前だった時代」から「金利があることを前提とした時代」への移行を意味します。今後の経済政策の方向性次第では、金利上昇が継続する局面も想定されます。市場環境の変化を冷静に見極めながら、自身の資金計画や物件特性に応じた柔軟な対応を行うことが、これからの賃貸経営に求められる姿勢と言えるでしょう。
ご注意
※本記事は2026年1月26日時点の情報をもとに作成しています。
