No.77 国の政策を【3分で理解】
これからの賃貸経営に関わる住生活基本計画のポイント
国は2021年に「住生活基本計画(全国計画)」を策定し、2030年頃までの住宅政策の方向性を明確に示しています。賃貸住宅もこの流れの中にあり、今後の経営判断に直接影響します。ここでは賃貸住宅に関係するポイントをまとめました。
「住生活基本計画」とは?

国が10年ごとに定める「日本の住まい・住宅政策の最上位計画」です(住宅政策の“マスタープラン”“国の住宅ビジョン”に相当)。法律上は、「住生活基本法(2006年制定)」に基づいて国が策定する計画で、国土交通省が中心となって作ります。この計画は、住宅の量や質だけでなく、防災・省エネ・高齢化・デジタル化など、これからの社会構造の変化を踏まえ、「住まうヒト」・「住まうモノ」・「住まいを支えるプレイヤー」という3つの視点から総合的な方向性を示すものです。賃貸オーナーにとっては、改修や投資判断、入居者へのサービスについての重要な判断材料になります。
1.“ストック重視”の時代へ
国の住宅政策は、これまでの「新築中心」から、既存住宅(ストック)を長く・安全に使う方向へ大きく転換しました。背景には、人口減少・世帯数の減少、住宅の過剰供給、環境重視があります。
そのため国は、賃貸住宅でも次のような方向を強めています。
- 老朽化した建物の改修を促す
- 耐震化・バリアフリー化の支援
- 空き家化を防ぐための流通促進
2.省エネ・断熱性能の底上げが加速
国全体で「カーボンニュートラル(2050年)」を掲げる中、住宅の省エネ化は最優先事項のひとつです。
計画では次の方針が示されています。
- 2025年:新築住宅の省エネ基準義務化
- 賃貸住宅の断熱改修・窓リフォームの支援拡充
- 省エネ性能の“見える化”を進める仕組みの整備
今後は、設備や断熱性能の差が入居者の選ぶ基準になる時代です。
3.空き家対策の強化
空き家の増加を抑えるため、計画では“管理不全”や“放置”への対策強化が明示されています。
- 空家法の改正で行政指導が強化
- 老朽賃貸への改修支援
- 地域全体で空き家活用を進める仕組みの整備
4.“住宅確保要配慮者”への支援拡充
2050年に向けた人口構造の変化を見据え、入居に困りやすい層(高齢者・外国人など)への支援が拡充される流れとなります。
- セーフティネット住宅の登録拡大
- 家賃補助・相談窓口の強化
- 民間賃貸住宅の活用の推進
入居者の多様化に対応する方針が経営安定化の鍵になります。
5.デジタル化・業務効率化の推進
電子契約やIT重説(重要事項説明)など、賃貸業務のデジタル化は国の計画でも方向性が明確です。
- 契約手続きの電子化
- 入退去管理のデジタル化
- データに基づく住宅政策の推進
まとめ
住生活基本計画を理解すると、これから国がどの分野に補助金と規制をかけるのかが見えてきます。実際、リフォーム・省エネ補助金の拡充や住宅セーフティネットの残置物対応の明確化など、計画の方向性と一致した施策がすでに動いています。
賃貸住宅に関係するキーワードは「省エネ」「ストック活用」「空き家対策」「入居者の多様化」「デジタル化」。 今後の賃貸経営を考えるうえで、必ず押さえておきたい視点です。
ご注意
※本記事は2026年1月19日時点の情報をもとに作成しています。今後の法改正や運用方針によって内容が変更される場合があります。最新情報は国土交通省 住生活基本計画(全国計画)をご確認ください。
