No.72 節税と地域貢献を両立する「ふるさと納税」

賃貸オーナーが「ふるさと納税」を活用する際に知っておきたいポイント

 年末に近づくと関心が高まる「ふるさと納税」。賃貸オーナーにとっては、給与所得者とは異なる留意点があります。本記事では、制度の目的や仕組み、近年の法改正、不動産所得者ならではの実務的な注意点を整理してご紹介します。

1.制度の目的と基本的な仕組み

 ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすることで、2,000円を超える部分について所得税および住民税から控除が受けられる仕組みです。多くの自治体では返礼品として地場産品を提供していますが、あくまでも「寄附」が本質であり、返礼品はその謝意の一部にすぎません。

 なお、総務省は自治体間の過度な競争を防ぐため、返礼品の調達費を寄附額の3割以下とするよう制限を設けています。

2.賃貸オーナーの「控除上限額」に関する注意点

 ふるさと納税では、所得や家族構成に応じて「控除上限額(控除限度額)」が決まっています。上限額を超えた場合、超えた金額は自己負担となります。

 給与所得者であれば年収からおおまかに見積もることができますが、不動産所得のある賃貸オーナーは事情が異なります。

 不動産所得があれば、課税所得が増えることで控除上限額が高くなる一方、青色申告特別控除や減価償却費の計上によって所得額が変動するため、上限額の見積もりには注意が必要です。

3.上限額の計算と実務上のポイント

 上限額の算出はかなり複雑です。そのため、総務省や各種ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーションツールをご利用されるのが良いでしょう。

 さらに不動産オーナーは以下の点でご注意ください。(税理士や税務署への確認をおすすめします)

  • 不動産所得は「黒字か赤字か」で上限額が大幅に変わる
  • ふるさと納税の上限額の核心は 住民税所得割額の20%
  • 給与だけの人用の「早見表」は不動産所得があると使えない

4.ルール変更のポイント

 本制度はたびたび変更されており、最近は以下の点が変更されました。

  • 返礼品の地場産品要件の厳格化
  • 還元率上限3割の厳格化
  • ふるさと納税の募集に係る経費等の見直し(ふるさと納税サイトのポイント付与の禁止など)

これにより、制度の透明性と公平性がより高まっています。納税者側の手続きに大きな変更はありませんが、寄附金受領証明書や控除証明書の保管は引き続き重要です。

5.賃貸オーナーはワンストップ特例が使えない

 賃貸オーナーのように確定申告を行う方は、「ワンストップ特例制度」の対象外となります。この制度は、確定申告をしない給与所得者が5自治体以内の寄附に限って利用できる制度です。

 そのため、確定申告時に寄附金控除欄を記入し、受領証明書を添付する必要があります。

単なる節税ではなく「地域とつながる」寄附へ

 ふるさと納税は、節税だけを目的とした制度ではありません。賃貸オーナーにとっても、地域との関係を見直し、事業とまちの共存を考える契機となるでしょう。

 制度の目的と仕組みを正しく理解し、税務面の影響も踏まえたうえで、有意義な寄附として活用してみてはいかがでしょうか。

ご注意

※本記事は2025年12月1日時点の法制度をもとに作成しています。今後の法改正や運用方針によって内容が変更される場合があります。詳細は総務省ふるさと納税ポータルサイトをご確認ください。