No.70 空室対策のカギは「Z世代」の理解にあり

ネット・スマホ世代の価値観を理解した住まいづくりで空室対策

 若年層の入居需要をどう取り込むかは、今後の賃貸経営における大きなテーマです。その中心にいるのが「Z世代」と呼ばれる15~29歳の層。彼らの価値観や行動傾向を理解することが、これからの空室対策のポイントになります。

繁忙期の主役は「Z世代」

 賃貸仲介業界では、毎年1~3月を「繁忙期」と呼びます。大学進学や就職、転勤などを機に引っ越し需要が集中する時期で、(株)エイブルの仲介実績でも、成約件数は通常月に比べて2割増しです。オーナーにとっては、この時期に備えて年内にリフォーム・設備更新を行う絶好のタイミングです。

 総務省「住民基本台帳人口移動報告(2024年)」によると、都道府県をまたぐ転入者のうち、Z世代(15~29歳)が全国でも3大都市圏で約6割を占めています。実際には住民票を移さずに暮らすケースも多く、繁忙期には首都圏の成約者の約7割をZ世代が占め、通常期の約5割を大きく上回っています。(エイブル総合研究所調べ)

Z世代の特徴と住まい選びの傾向

 Z世代は、生まれたときからインターネットと共に育った「デジタルネイティブ」です。情報収集の手段も、人との関わり方も、従来世代とは大きく異なります。そんな彼らの住まい選びで重視されるのは「コスパ(費用対効果)」と「タイパ(時間対効果)」。 仕事や学業、趣味など多忙な生活の中で「自分の時間を確保できる空間」「ストレスの少ない快適な室内環境」を求める傾向があります。

Z世代が重視するポイント

 まず重要なのは通信環境です。無料Wi-Fiや高速インターネットは、Z世代にとって生活インフラとして“あって当然”です。これが整っていない物件は、検討段階で外されることもあります。「インターネット無料」は、オーナー負担が比較的少なく、近年の新築物件ではほとんどが導入しています。

 一方、宅配ボックスなどは設置規模によって費用負担が大きくなる場合もあるものの、誰にとっても利便性の高い設備であるため、導入効果は高いと考えられます。リース契約を活用すれば、初期投資を抑えつつ導入することが可能です。

 また、物件の魅せ方にも工夫を加えると効果的です。たとえば、360°カメラで撮影した物件写真をインターネット広告に掲載すれば、入居希望者は現地に行かずとも室内の雰囲気を把握できます。担当の賃貸仲介会社と相談してみると良いでしょう。

賃貸経営の発想転換を

 「古くても安いから」では選ばれない時代です。たとえ築年数が古くても、清潔感があり、使い勝手に工夫がある物件は高い評価を得ています。夜間のライトアップ、照明が工夫され、清掃が行き届いたエントランスは、ウェブ広告、内覧時の第一印象をアップさせます。照明は、わずかな工夫や投資で効果を実感しやすい分野であり、見直すことで印象を大きく変えられます。

 空室を埋める鍵は、オーナーが借り手の視点に立ち、Z世代のライフスタイルを理解すること。ネットと現実が地続きの時代において、彼らの「共感」を得る工夫こそが、次の繁忙期の成果を左右します。

ご注意

※本記事は2025年11月時点の情報に基づいています。
※統計データは毎年更新されます。最新の「住民基本台帳人口移動報告」などの情報は政府統計ポータルサイト「e-Stat」(https://www.e-stat.go.jp/)をご確認ください。