No.6 どちらが得?どこで採れる?どこから運ぶ?
いまさら聞けない都市ガスとプロパンガスの基本
電気・ガス・上下水道・電話・インターネットなどは、インフラ(Infrastructure)と呼ばれます。私たちの生活にとって当たり前の存在ですが、スポットライトを当てると意外なことがたくさんあります。
その採掘から用途まで
都市ガスは、天然ガスとして地下のガス田から採掘されます。国産は2%程度で、オーストラリア、東南アジア、中東、米国などから、液化天然ガス(LNG)として日本に運ばれます。その3分の1が都市ガスとして使われ、残りは火力発電の燃料となります。
プロパンガスは液化石油ガス(LPG)の一種で、原油の精製過程や天然ガスの処理過程で副産物として得られます。その4分の3は米国や中東からの輸入品です。プロパンガスの約半分は家庭用・業務用として使用され、残りはタクシー燃料や火力発電、カセットコンロのボンベ、ライター、スプレー缶に利用されています。
成分の違いによって変わってくること
都市ガスはメタンを主成分とし、マイナス162℃以下に冷却して液化(体積は約600分の1に)して専用の低温タンクを持つタンカーで運搬されます。家庭にはガス配管を通じて供給され、簡単なボンベには充填できません。
プロパンとブタンを主成分とするプロパンガスは、圧力をかけて液化(体積は約250分の1に)して専用タンカーやタンクローリーで運搬され、ボンベに詰めてトラックで配送されます。プロパンは体積あたりの熱量が都市ガスの2倍以上あり、引っ越しの際にはガス器具を買い替える必要が生じることがあります。
届け方の違いでコストに大きな差が
都市ガスの製造所から消費者までの配管を導管と呼びます。地中に導管網を敷設する設置費用が巨額となるため、少数の大手業者が運営しています。導管網は日本の約6%の面積に集中し、ここに人口の55%が住んで都市ガスを使っています。ガス導管が自宅近くにない家庭や施設では都市ガスを利用できません。
プロパンガスは、多数の中小事業者がボンベをトラックで配送し、定期的に補充します。ボンベ運搬コストが価格に影響し、ステーションからの距離でガス代が変動します。都市ガスはガス導管が敷設されれば人件費がかからず、プロパンよりもガス料金が安くなります。

業者の選び方・交渉のしかたで料金が変わる?
平成29年(2017)、都市ガスは全面小売り自由化が実施され、消費者が事業者を選ぶことができるようになりました。プロパンガスは以前から自由化されており、地域によっては価格差が2倍に及ぶこともあります。集合住宅や賃貸住宅では管理組合やオーナーがプロパン業者を決めるため、個々の居住者は業者を選べません。

それぞれのメリットとデメリットは?
プロパンの平均価格は都市ガスより1.8~2倍高く、プロパンの値段には運搬コストが大きく影響します。都市ガスはメタンが主成分のため、燃焼後のCO²排出量がプロパンより少なく、プロパンは同熱量の都市ガスの1.16倍のCO²を排出します。
都市ガスのデメリットは、供給エリアが地下導管に限られることと、災害復旧に時間がかかることです。都市ガスは完全復旧に2~3か月を要する場合もありますが、プロパンガスは2週間ほどで復旧可能です。被災地の仮設住宅にはプロパンが設置され、迅速に活用されます。
プロパンの流通は、行き過ぎた競争によって、かねてから不公正な取引が指摘されてきました。最近、法令が改正されたことを次号で説明します。
ご注意
※この記事は2024年8月19日時点の内容です。最新情報は各ガス会社の公式サイトをご確認ください。
