No.12 令和6年から施行される相続税改正について、主な変更点と影響を詳しく解説します

注目すべきは、暦年贈与の加算期間が3年から7年に延長される点と、相続時精算課税制度の見直しです

暦年贈与の加算期間変更

 これまで、被相続人が生前に行った贈与は、相続開始前の3年間に限り相続財産に加算されていました。しかし、新税制ではこの期間が7年に延長されます。

 具体例として、父親が子供に10年間にわたり毎年110万円を贈与した場合、従来制度では3年間分の330万円のみが相続財産に加算されていましたが、改正後は7年間分の770万円が加算されます。これにより、相続税の計算基礎が増加し、課税対象額が増えることになります。

相続時精算課税制度とは?

 相続時精算課税制度とは、直系尊属(父、母、祖父母)から生前贈与を受ける際に2,500万円まで贈与税を非課税とし、贈与した人が亡くなった時にその贈与財産も含めて相続税を課す制度です。

 相続時精算課税制度を利用する場合、最初に贈与を受けた年の翌年3月15日までに相続時精算課税選択届出書および一定の書類を税務署に提出する必要があります。累計2,500万円までは贈与税がかかりませんが、それを超える部分に対しては一律20%の贈与税が課されます。

相続時精算課税制度の変更点

 今回の改正では、相続時精算課税制度に新たな非課税枠が加わり、毎年110万円の基礎控除が追加されました。これにより、年間110万円以下の贈与については贈与税がかからず、累計2,500万円の特別控除にも含まれません。

 また、災害で贈与財産が被害を受けた場合は、その被害額を控除して相続税を計算することが可能となりました。これらの変更は令和6年(2024年)1月1日以降の贈与に適用されます。

基礎控除と贈与税申告の不要化

 改正により、年間110万円までの贈与に対しては贈与税がかからず、申告も不要となりました。これにより、利用者にとって大きなメリットが生じます。従来の制度では少額の贈与でも申告が必要であったため、手続きの煩雑さと節税効果の薄さから利用が進んでいませんでした。

相続時精算課税制度のメリットとは

 「年110万円までなら贈与税も相続税もかからず、申告もいらない」ことに加え、相続時精算課税制度には多くのメリットがあります。例えば、賃貸不動産のような収益がある財産の場合、賃料は受贈者(子や孫)が得ることになります。親世代の現預金の増加を抑制し、相続税の節税効果が期待できます。

注意点と選択の重要性

 相続時精算課税制度を選択すると、通常の暦年課税制度には戻せなくなるため、慎重な検討が必要です。特に土地の贈与に関しては、小規模宅地等の特例が適用できなくなる場合があるため、相続税が高額になる可能性があります。最終的に、どちらの制度が適切かは個別の事情によって異なるため、専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

 改正された相続税法の理解を深め、適切な選択を行うことで、相続税の負担を軽減することが可能です。ぜひ、この情報を参考にしていただき、有効な相続対策を講じてください。

ご注意

※この記事は2024年9月30日時点の内容です。最新情報は国税庁の公式サイトをご確認ください。