No.15 信託がわかるシリーズ第一回「家族信託について」

家族信託:安心の財産管理と相続対策

 家族信託とは、信頼できる家族にお金や家等の財産を託し、管理や運用を任せる法律上の制度です。具体的な事例を交えながら、この仕組みについて見ていきましょう。

太郎さんの心配ごと「アパート経営の不安」

 太郎さんの父親は長年、アパート経営をしています。しかし、太郎さん自身は会社勤めであり、父親のアパート経営を引き継ぐことに不安を抱いています。特に「もし父親が認知症になってしまったら、アパート管理はどうすれば良いのか」「銀行口座が凍結された場合、修理費用や運営資金はどう工面すれば良いのか」と、日々の不安が押し寄せていました。

花子さんの願いごと「家族仲の良さを守りたい」

 一方、花子さんは成人した2人の子どもを持つ母親で、離れて暮らしていても全員が集まって食事を楽しむなど、仲の良い家族を大切に思っています。彼女の願いは、将来自分がこの世を去った後も、二人の子どもたちが相続財産を巡って争うことなく、仲良く過ごしてほしいということです。特にアパートや土地などの財産が絡むと、相続問題が起こりやすいため、花子さんは何とかそのトラブルを避けたいと考えています。このような不安や願いに応えるのが「家族信託」です。

事例1:太郎さんのケース

 太郎さんは父親と話し合い、自分を受託者として家族信託を結ぶことにしました。父親のアパートや預金を信託財産として、太郎さんが管理する契約を結んだのです。この家族信託契約により、もし父親が認知症になっても、太郎さんは法律に基づいて父親の財産を管理し、必要に応じて生活費や医療費の支払いを行うことが可能になりました。これにより、父親は安心して今後の生活を見通せるようになったのです。

事例2:花子さんのケース

 花子さんも、自分が亡くなった後に子どもたちが相続で揉めないように、事前に家族信託を結びました。次男のヒロシさんを受託者にし、信託契約の中で財産の分け方をあらかじめ決めておきました。これにより、花子さん亡き後も、ヒロシさんが契約に基づいて財産を管理し、公平に子どもたちに分配することが保証されました。この方法で、相続時のトラブルを防ぎ、家族の絆を守ることができるのです。

なぜ家族信託が重要なのか?

 最大のメリットは、高齢者が判断力を失っても財産が適切に管理され、生活に困らないようになることです。日本では高齢化が進んでおり、認知症等で自分の財産を自由に扱えなくなるケースが増加しています。その場合、銀行口座が凍結されたり、不動産を自由に売却できなかったりするリスクがあります。

 しかし、家族信託を結んでおくと、信頼できる家族が財産を管理し、必要に応じて運用や支出ができるため、リスクを回避できます。また、相続時の争いを未然に防ぐことも可能です。家族間での財産分配のルールを事前に決めておくことで、相続時のトラブルを避け、家族の絆を守ることができます。

専門家の助けが必要

 家族信託を行う際には、専門的な法律知識が求められます。信託契約をきちんと作成し、信頼できる受託者を選ぶことが重要です。弁護士や専門のアドバイザーに相談することが推奨されます。

ご注意

※この記事は2024年10月21日時点の内容です。最新情報は法務省の公式サイトをご確認ください。