No.40 自筆証書遺言の問題点の多くが解決されました!

低コストでトラブル防止できる!自筆証書遺言の保管制度について

 自筆証書遺言は、以前はさまざまなトラブルの原因になっていました。そうした問題の解決のため、2020年より始まった「自筆証書遺言の保管制度」。本号ではこの制度によって解決されたことと、メリットや注意点について説明します。

遺言書の形式

 遺言書は財産分与等の方針を示し、相続に伴う登記や名義変更手続き(遺言の執行)の根拠となりますので、とても大事なものです。普通方式の遺言書には、さまざまな形式があります。

遺言形式による違い、メリット・デメリットイメージ図
遺言形式による違い、メリット・デメリットイメージ図

自筆証書遺言の利点・問題点

 自筆証書遺言は、独りでいつでもどこでも作成できるので簡易・低コストです。遺言した事実も内容も秘密にすることができます。

 簡易な一方で、紛失・偽造・改ざんのリスクや、形式不備による無効のリスクがあります。また、勝手に開封できず、家庭裁判所での検認手続きが必要です。遺言書の存在を遺族が知らないことで、なかなか発見されなかったり、遺言が本当に正しいかどうかを巡って遺族間の紛争が起こることもありました。

自筆証書遺言保管制度とは

 遺言者が作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で保管します。

  1. 遺言書の紛失・破棄・偽造・改ざんを防げる
  2. 家庭裁判所での検認が不要
  3. 相続人等へ遺言の保管が通知される
  4. 相続人による照会が可能(相続開始後)
  5. 手数料が安価(保管費用は3,900円)

保管と閲覧・交付の流れ

  1. 【保管の流れ】
    遺言者本人が法務局に予約を取り、遺言書を持参します(代理人・郵送不可)。必要書類を提出し、本人確認を受けた後、職員が形式を確認し、問題がなければ保管されます。「遺言書保管証」が発行されます。
  2. 【法務局から相続人等へ遺言保管の通知】
    遺言者の死亡を確認した法務局は、遺言者があらかじめ指定した対象者に対して、遺言書を保管していることを通知します。
  3. 【相続発生後の閲覧・交付】
    遺言者の死亡後、相続人等は遺言書の閲覧請求や写し(遺言書情報証明書)の交付請求を行えます。遺言書情報証明書を金融機関や法務局の不動産登記部門に提出することで相続手続きが可能です。

本制度の注意点

(1)保管できる法務局の確認

遺言者の住所地・本籍地、または所有不動産の所在地を管轄する法務局

(2)遺言書の要件

  • 自筆証書遺言であること(パソコンや代筆による作成は不可)
  • 財産目録については、パソコン作成や登記事項証明書の添付も可(ただし全ページに署名・押印が必要)
  • A4サイズの紙で、片面のみ使用
  • その他法務省令で定める方式に従って作成されていること

(3)法務局の確認は形式のみ

内容の有効性は判断してくれません。法的に問題のある内容でもそのまま保管されます。

(4)必要な届け出項目

氏名や住所地・本籍地等の変更があったら届け出が必要です。

(5)遺言の変更・撤回には手続きが必要

 遺言内容の変更はできません。撤回したい場合は、法務局で遺言書の「撤回請求」を行います。変更には新たな遺言を作成し、再度保管申請してください。

最後に

 自筆証書遺言の問題点をかなり解決した保管制度。法的な問題を防ぐため、遺言作成の際には司法書士等に助言をもらったほうが安心です。

ご注意

※この記事は2025年4月21日時点の内容です。最新情報は法務省の公式サイトをご確認ください。