No.55 生命保険といっても、目的によって種類はさまざま
相続対策に強い味方。賃貸オーナーが知っておきたい生命保険の活用術
前号(No.54)では、相続時に現金が不足すると納税資金の確保に苦労し、資産の売却や遺産分割の混乱につながるリスクをお伝えしました。今回は、相続に備えて現金を確保する有効な手段としての「生命保険」についてご紹介します。
「生命保険」を大きく4つに分類
生命保険は大きく分けると、次の4つに分類できます。
- 病気や入院に備える医療保険(入院保険・がん保険など)
- 将来の資金準備を目的とした貯蓄型保険(養老保険・学資保険・年金保険など)
- 働き手が亡くなった際に家族を支える定期保険
- 相続時の納税資金や分割対策に役立つ終身保険
今回注目するのは、4の終身保険です。
相続対策としての生命保険の特長
-
保険金はすぐに受け取れる
相続が発生すると銀行口座は凍結されますが、生命保険金は、死亡届の提出から数日〜1週間程度で支払われるのが一般的です。葬儀費用や医療費、当面の生活資金にすぐ使える点が安心です。
-
受取人を自由に指定できる
生命保険は、契約時に死亡保険金の受取人を指定できるのが特徴です。配偶者や子ども、兄弟姉妹、孫など、二親等以内の血族を指定できます。受取人は1人でも複数でも可で、金額の配分も自由に設定できます。
-
加入には健康状態の審査がある
生命保険の加入時には「健康告知」が必要です。保険内容によっては、医師による診査が求められる場合もあります。ただし、近年ではがん経験者でも加入できる商品も登場しています。
-
特約は複雑でも、主契約だけをみればOK
生命保険は「主契約+特約」で構成されることが多く、複雑に感じるかもしれません。相続対策としては、主契約の終身保険金額に着目すれば十分です。
賃貸オーナーが知っておきたい生命保険の「5つのメリット」
-
【節税効果】非課税枠の活用
生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、これを活用することで相続税の圧縮が可能です。
-
【納税資金の確保】不動産中心の相続に有効
賃貸経営者の場合、相続財産の多くが不動産で占められがちです。現預金が少ないと納税に困るため、生命保険による現金確保は効果的です。
-
【財産分割の補助】分けにくい不動産の補完
「長男が不動産を相続する代わりに、次男には保険金を」という形で、不動産を分けにくい相続に現金を添えることができ、遺産分割をスムーズに進められます。また、54号で説明しましたが、「代償分割」のための資金として活用することで相続人間の不公平を防ぎ、納税資金の確保にも役立ちます。
-
【受取人の固有財産として扱える】
生命保険金は、民法上は受取人の固有財産とされ、遺産分割協議の対象外です。相続放棄をしても保険金は受け取ることができます(※税法上は課税対象)。
-
【法定相続人以外への贈与にも活用可能】
保険会社によっては、孫や内縁の配偶者など法定相続人以外を受取人に指定できるケースもあります。この場合、相続税の2割加算される点には注意が必要です。
専門家への相談が成功のカギ
生命保険の活用には、契約内容の設計と税務的な判断が重要です。確定申告をお願いしている税理士や、相続に詳しい保険営業担当者に相談することで、ご自身の資産構成や相続方針に合ったプランが立てられます
「不動産は残せるけれど、現金が足りない」という状況を防ぐためにも、早めの準備と専門家との連携が重要です。
ご注意
※この記事は2025年8月4日時点の内容です。最新情報は各保険会社のサイトをご確認いただくか、税理士などの専門家にご相談ください。
