No.58 防災の日に考える、もしもの備え
南海トラフ地震とアパート・マンションの耐震対策
9月1日は「防災の日」。災害への備えや防災意識の向上を目的としています。これを機に、今後高い確率で発生が予測されている南海トラフ地震と、集合住宅における耐震対策の重要性について改めて考えてみましょう。
南海トラフ地震とは
南海トラフとは、静岡県沖から四国沖、九州沖にかけて連なる海底の溝状地形を指します。このトラフはフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界にあたり、両プレートのひずみが蓄積されることで、周期的に巨大地震を引き起こすとされています。
「内閣府:南海トラフ巨大地震の被害想定について」によると、太平洋沿岸の広い地域にわたり震度6強から7の激しい揺れが発生する可能性があり、被害は広範囲に及ぶと見られています。(図1参照)特に懸念されているのが老朽化した建物の倒壊リスクです。想定震度7の地域では、1980年以前の木造住宅の90%以上、非木造建物(鉄筋コンクリート造等)でも40%以上が全壊する恐れがあると試算されています。

アパート・マンションの耐震対策
木造アパートの場合、水平方向の揺れに耐えるために「筋交い」などを適切に配置したり、柱と土台の接合部を専用金物で補強する工法が一般的です。これにより、地震時のねじれや倒壊リスクを軽減できます。(図2参照)
鉄筋コンクリート造マンションでは、「鉄骨ブレース(鋼材による補強材)」を設置する方法や、建物の内外に鉄筋コンクリート製の耐震壁(RC造壁)を増設する工法などが採用されます。これにより、建物の変形を抑え、構造の安定性を高めることができます。ただし、必要な補強内容は、建物の構造形式や築年数、現状の劣化状況などによって異なります。そのため、まずは耐震診断を実施し、現状を正確に把握した上で、専門家とともに最適な補強計画を立てることが重要です。

各自治体の助成金と固定資産税減税措置
老朽化した建物の耐震性を高めるため、多くの自治体では、耐震診断や耐震改修工事に対する助成制度を設けています。たとえば、東京都内の各区や愛知県内の複数の市町では、診断費用や改修費の一部を補助する制度があります。ただし、対象となる建物の条件や助成内容、申請方法は自治体によって異なります。
また、1982年1月1日以前に建築された住宅については、2026年3月31日までに耐震改修工事を実施した場合、一定の要件を満たすことで固定資産税の減額措置を受けられる可能性があります。これらの制度は、所有者の経済的負担を軽減しつつ、防災性の向上を後押しする重要な支援策といえるでしょう。ただし、助成制度の詳細や適用条件は自治体によって異なるため、必ず各自治体のホームページや窓口で最新の情報を確認することが大切です。
地震などの自然災害を完全に防ぐことはできませんが、建物の倒壊による資産や家賃収入の損失、住民の安全確保の観点からも、事前の備えと制度の活用が重要です。安全性と資産を守るためにも、早めの検討と対応をおすすめします。
ご注意
※この記事は2025年8月25日時点の内容です。南海トラフ地震に関しては内閣府、助成金などは各自治体の公式サイトの最新情報をご確認ください。
