No.57 プロが語る、費用対効果を見極めたメンテナンス
外壁塗装は「10年周期」が正解とは限らない
東京・大阪を拠点に、全国で大規模修繕工事を手がける 株式会社アローペイント の染矢社長に、外壁塗装の必要性と費用対効果について伺いました。RC物件のみならず、戸建や木造物件のオーナーにとっても参考になる内容です。
「外壁塗装は100年不要」?本当に必要かは方針次第
「現代のRC(鉄筋コンクリート)構造の建物は、最小限のメンテナンスで100年持つ性能があります」と語る染矢社長。つまり、外壁塗装の必要性は一律のものではなく、オーナーの運用方針によって異なるというのです。
短期での売却を視野に入れた物件では、見た目を整える程度の対応でも十分。長期保有を前提とするのであれば、建物の資産価値や入居者の印象を保つため、定期的な外観メンテナンスが求められると指摘します。
「全面塗装=正解」ではない。目的に合った判断が重要
「もし私が築20年の物件を所有していたとしても、外観に問題がなければ全面塗装はしません」と染矢社長。全面塗装には、数百万円単位の費用がかかる一方で、雨漏りなどの部分修繕なら数十万円で済むケースが多いためです。
にもかかわらず、「外壁は10〜15年で塗り替えるべき」という一般的な情報に影響されて、必要以上の出費をしてしまうオーナーが後を絶ちません。
「10年~15年で塗替え」?7割が“思い込み”で判断
染矢社長は、「10~15年での塗り替えが必要」という“業界の常識”について、「実際は問題がないのに、年数だけで判断してしまう人が非常に多い」と警鐘を鳴らします。体感的には、オーナーの約7割が“年数ありき”で塗装を決断しているそうです。
一方、収益性を重視する投資家は、屋上や紫外線の影響を受けやすい所等、必要な箇所だけを重点的に塗装することで、コストを抑えつつ資産価値を維持する戦略をとっています。「賃貸物件はビジネス。費用対効果で判断すべきです」と染矢社長は強調します。
「全面ではなく、部分で直す」国も推奨する“こまめな修繕”
効果的な外壁塗装を実現するには、「必要箇所を見極めて、絞って依頼すること」が重要です。たとえば、日差しや雨の影響を受ける箇所、防水シートの継ぎ目、塗料の剥がれた箇所などに絞って部分塗装を行えば、十分な効果が得られるといいます。
屋上防水についても、15年ごとの全面張り替えではなく、5年ごとの点検と部分的な上塗り補修をすることで、費用を約5分の1に抑えられるとの事。こうした段階的・効率的なメンテナンス手法は、近年、国土交通省も推奨しており、「一気に大規模修繕」から「こまめな部分修繕」への転換が、今後の主流になると見られています。

予防保全こそが、安定経営と資産価値の鍵
最後に染矢社長は、建設資材の高騰や人手不足といった課題にも触れながら、「故障する前に直す=予防保全」の重要性を強調しました。とくに賃貸物件では、建物トラブルが入居者の退去につながるリスクもあるため、同社が推進する「こつこつメンテ」のような継続的な点検・修繕の仕組みが、長期安定経営と資産維持の鍵になると語りました。
ご注意
※この記事は2025年8月18日時点の内容です。最新情報はアローペイント社の公式サイトをご確認ください。
