No.59 宅配便の課題解消へ向けた取り組み

国土交通省が置き配ルールのポイントを発表

 令和6年6月7日、国土交通省は 「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」 を公表しました。増えている置き配についてのルールを明確にし、共同住宅におけるトラブルを防ぐことを目的としています。置き配が宅配便の増加による再配達問題、環境負荷の軽減の一助になっていることも背景としてあります。

宅配便の現状と課題

 宅配便の取扱個数は2000年の25.7億個から2023年には50.1億個に増加しました。しかし、そのうち8.4%が再配達となり、ドライバーへの負担やCO₂排出の増加が深刻な問題となっています。

2000年から2023年までの宅配便取扱個数の推移と再配達率8.4%の推移を示したグラフ

こうした状況に対応する手段として、以下のような工夫が求められています。

  • コンビニ受け取りなどによる不在防止
  • 宅配ボックスの設置
  • 置き配サービスの活用

置き配の利便性と課題

 置き配とは、対面せずに玄関前や宅配ボックスなど、指定の場所に荷物を届けるサービスです。これにより再配達が不要となり、CO₂排出量の削減にもつながります。受取人が在宅でなくても配達が完了するため、忙しい人にとっても便利な手段です。一方で、次に挙げることのようなリスクも指摘されています。

  • 荷物の盗難や誤配送
  • 商品の汚損や破損
  • 廊下や階段など避難経路の妨害

 このようなリスクを軽減するためにも、明確なルール作りが必要とされています。

「置き配に関する使用細則」の策定ポイントとその具体例

 国交省が示したガイドラインでは、共同住宅において置き配を円滑に導入・運用するため、次の6つのポイントを重視しています。

  1. 時間帯と場所の明確化
    置き配が可能な時間帯や場所(例:玄関前のみ、避難を妨げにならない場所)を具体的に定めること
  2. 留め置き期間の設定
    宅配物を留め置くことができる期間(例:当日中まで)を具体的に定めること。
  3. 置き配禁止物の明確化
    衛生上の問題があるものや危険物(発火性物質など)を禁止すること
  4. 違反対応の明確化
    ルール違反が発生した場合の対応(例:置き配利用者に対する引き取り要求など)を具体的に定めること
  5. 責任の所在の明確化
    置き配サービスの依頼及び宅配物等の管理居住者自らの責任で行うものとすること
  6. 避難経路の確保
    消防法に基づき、廊下や階段など避難経路を妨げる状態での置き配を禁止すること。

 具体例としては、「置き配は平日の8時~20時に限る」「専有部分である玄関のみを指定可能とする」「通行や避難を妨げる場所への置き配は禁止する」などのルール設定が想定されています。また、「24時間以上放置しないこと」といった留め置き期間の明確化も重要です。

 加えて、衛生面で問題となる物品や、発火・引火の危険性がある荷物については、置き配を禁止することが望ましいとされています。

まとめ

 置き配は、ドライバー不足や再配達削減、環境負荷の軽減といった社会課題の解決に貢献する有効な手段です。国土交通省が示した方針は、安全・安心な住環境の確保と、物流の持続可能な発展を両立させるための第一歩といえます。

 今後、各管理会社や宅配業者が連携し、現場の実情に即した具体的なルール作りを進めていくことが期待されています。

ご注意

※この記事は2025年9月1日時点の内容です。最新情報は国土交通省の公式サイトをご確認ください。