No.113 「再配達」を減らすために賃貸住宅ができること

宅配ボックスだけではない。変わる「荷物の受け取り環境

 ネット通販(EC:e-コマース)の利用拡大に伴い、再配達の削減が社会的な課題となっています。国も非対面での受け取りを推進する中、賃貸住宅でも「一度で荷物を受け取れる環境」をどう整えるかが重要になっています。

国も再配達削減を推進

 国は、物流を担うドライバーの負担軽減などの観点から、再配達の削減を進めています。2026年3月に閣議決定された「総合物流施策大綱」では、2030年度までに「多様な受取方法(非対面受け取り)の利用率」を50%程度にする目標を掲げました。2026年4月の調査では利用率は31.0%、再配達率は7.6%となっています。

 再配達を減らすには、配送方法の工夫だけでなく、不在時でも荷物を受け取れる環境を整えることが重要です。賃貸住宅でも、宅配ボックスや置き配など、物件に合った受け取り方法を考えてみましょう。

宅配ボックスで「不在でも受け取れる」

 賃貸住宅で取り入れやすい方法の一つが宅配ボックスです。入居者が不在でも荷物を受け取れるため、配達員が再び訪問する機会を減らすことにつながります。

 既存物件でも、エントランスや共用部などにスペースが確保できれば設置を検討できます。一方、設置スペースや費用のほか、ボックス数が足りない場合や荷物が長期間取り出されない場合への対応も必要です。導入時には、保管期間や長期放置時の扱い、故障時の連絡先など、運用面も併せて考えておきましょう。

「置き配」を認めるならルールも必要

 宅配ボックスを設置できない物件では、玄関前などへの置き配も選択肢になります。

 ただし、集合住宅の共用部分に荷物を置く場合は、通行や避難の妨げにならないことが前提です。盗難や雨濡れ、荷物の長時間放置、他の入居者への影響なども考えなければなりません。

 国土交通省は「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」を公表し、置き配を認める場所や時間、放置できる期間などをルール化する考え方を示しています。置き配を認める場合は、「どこなら置いてよいのか」を明確にするなど、物件ごとのルールづくりも重要です。

オートロック物件にも新しい選択肢

 オートロック付き物件では、配達員が建物内に入れないため、玄関前への置き配が難しいケースがあります。しかし最近では、配達時に限ってオートロックを解錠し、玄関前まで荷物を届けられる仕組みも登場しています。

 例えばAmazonの「Amazon Key」や、ヤマト運輸のデジタルキーを利用した置き配サービスなどがあります。対応する物件や配送事業者、導入条件などはサービスによって異なるため、自物件の設備に導入できるか、セキュリティをどのように確保するかなどを確認することが重要です。

物件に合った「一度で受け取れる環境」を

 再配達を減らす方法はひとつではありません。宅配ボックスが適している物件もあれば、置き配のルールを整える方法や、オートロックと連携したサービスが適している物件もあります。

 大切なのは、入居者の利便性だけでなく、安全性や管理上の負担も考えながら、その物件に合った受け取り方法を考えることです。荷物を「一度で受け取れる環境」を整えることは、再配達の削減に協力するとともに、日々の暮らしの利便性を高める取り組みにもなります。

ご注意

※本記事は2026年10月5日時点の内容をもとに作成しています。再配達削減については国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」などをご確認ください。