No.111 「更新時の退去」は防げないのか?
防げない退去と防げる退去。賃貸オーナーが行える退去抑止策
一般的な普通借家契約では2年間の契約期間が設定されることが多いため、更新時期は入居者にとって「このまま住み続けるか、それとも引っ越すか」を考える節目になります。賃貸オーナーが実施できる退去抑止の方策を考えます。
防ぐことが難しい退去もある
例えば大学生の場合、専門課程への進学に伴ってキャンパスが変わったり、卒業後の就職で勤務地が変わることもあります。社会人であれば、転勤や転職、結婚、出産などをきっかけに住み替えるケースもあります。
また、現在の住まいに大きな不満がなくても、ライフスタイルや気分の変化から、更新を機に別の街や物件への住み替えを選ぶ人もいます。これらは、オーナー側では防ぐことが難しい退去といえるでしょう。
不満は突然生まれるのか?
問題は、オーナー側の工夫によって防げた可能性のある退去です。例えば、共用廊下の汚れがなかなか清掃されない、ごみ置き場が清潔に保たれていない、設備故障を連絡しても対応が遅い、管理会社に問い合わせても返事がない、といったことです。入居者の側では半年、1年と小さな不満が積み重なっていた可能性があります
小さな不満が退去につながる
ひとつひとつは退去を決断するほど大きな問題ではなくても、積み重なると「次の更新では別の物件を探そう」という気持ちにつながります。より条件の良い物件が見つかれば、引っ越しにかかる費用や手間と、現在の住まいに住み続けるメリットを比較し、住み替えを具体的に検討することも考えられます。
重要なのは不満の早期発見
退去防止の第一歩は、入居者が何に不満を持っているのかを早期に把握することです。
修繕依頼やクレームが寄せられてから対応するだけでは十分とはいえません。管理会社から修繕依頼の件数や内容を定期的に報告してもらうほか、共用部の状況、問い合わせへの対応時間、退去時の理由などを継続して確認することが重要です。同じ理由による退去が繰り返されていないかを確認することで、物件や管理上の改善点を把握しやすくなります。
「住み続けたい」と思わせる管理を
築年数の経過した物件では、新築物件と設備面だけで競争することは困難です。設備の入れ替えだけが退去対策ではありません。
共用部やごみ置き場が清潔に保たれている、設備の故障にも速やかに対応してもらえる。こうした日常的な管理品質は、入居者の満足度を上げ、「きちんと管理されている」という安心感を与えます。そういった日々の管理の積み重ねが、入居者の住み続けたいという気持ちにつながります。
長く住んでくれる入居者への感謝と特典を
さらに、更新時期には入居者への感謝を示すことも考えられます。入居期間が長くなるにつれ、設備の汚れや経年による劣化が気になってくることもあります。
そこで更新を機に、オーナー側の負担でエアコン清掃や水回りのメンテナンスなどを行うのも一案です。新規入居者の獲得に費用をかけるだけでなく、長く住んでくれている入居者の住み心地を高めることにも目を向ける。こうした取り組みも、退去を抑えるための一つの考え方ではないでしょうか。
まとめ
新しい入居者を獲得することに目が向きがちですが、退去が発生した際の原状回復費、空室期間の家賃損失を考えると退去抑止は重要です。管理への不満による「防げる可能性のある退去」を一件でも減らしていくことが、安定した賃貸経営につながります。
ご注意
※本記事は2026年9月21日時点の内容をもとに作成しています。
