No.107 事前の備えで被害の軽減と早期復旧につなげる

賃貸オーナーは防災対策として何が可能? 何をやるべき?

 令和8年熊本地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被害をうけた皆様へ心よりお見舞い申し上げます。賃貸住宅における防災対策について説明します。

まず確認したい
建物そのものの安全性

 1981年6月1日より前に建築確認を受けた旧耐震基準の建物は、耐震診断や補強を早めに行うことが重要です。また、外壁、屋根、ベランダ、階段、ブロック塀、給排水設備なども点検しておく必要があります。台風や地震の際に外壁材や屋根材が飛散したり、老朽化した階段や手すりが損傷したりすれば、入居者だけでなく近隣住民に被害を及ぼすおそれもあります。

 建物や付属設備の管理に不備があった場合、民法717条の土地工作物責任を負う可能性があります。日頃からの建物や付属設備の点検・補修が重要です。

共用部の安全確保

 廊下や階段、自転車置き場、集合ポスト周辺などに私物等が置かれていると、避難の妨げになる場合があります。普段から共用部を整理し、避難経路を確保しておくことが大切です。消防設備や非常灯、消火器、避難器具などは、法令に基づく点検を確実に実施するとともに、故障や期限切れがないよう適切に維持管理する必要があります。

救命体制の整備

 賃貸住宅へのAED設置は、法的義務ではありませんが、大規模物件や高齢者の入居が多い物件では、救命対応の備えとして有効です。ただし、設置すれば終わりではありません。設置場所を分かりやすく表示し、バッテリーや電極パッドの期限を管理し、管理会社や賃貸オーナーが定期点検できる体制を整える必要があります。共用部に設置する場合は、入居者が緊急時に使えるよう、掲示板や入居時案内で周知しておくことも大切です。

水害への備え

 近年は、短時間に激しい雨が降るケースが増えています。物件が浸水想定区域や土砂災害警戒区域にあるかどうかは、自治体のハザードマップで確認できます。1階住戸や地下部分、駐車場、受水槽、電気設備などは水害の影響を受けやすい部分です。物件ごとの弱点を把握し、必要性に応じて排水溝の清掃、簡易止水板の準備、電気設備の浸水対策などを検討しましょう。

入居者への情報提供

 避難場所、自治体の防災情報、災害時の連絡先、停電・断水時の対応などを、入居時や更新時に案内しておき、掲示板などに表示しておくとよいでしょう。

事前に考えておくべき
災害後の対応

 被害確認、写真記録、保険会社への連絡、応急修繕など、発災後には短時間で多くの判断が求められます。火災保険や地震保険の補償内容を確認し、修繕業者や管理会社との連絡体制を整えておくことが、復旧の迅速化を左右します。

防災対策の経営価値

 賃貸住宅は、入居者にとって日々の暮らしの場です。災害に備えた管理体制が整った物件であることは、これからの賃貸経営における大きな価値になります。防災対策は、入居者の安心、物件の信頼性や資産価値の維持につながると言えるでしょう。

ご注意

※本記事は2026年8月24日時点の内容をもとに作成しています。