No.87 賃貸市場に変化の兆し。家賃上昇の背景と今後
岩盤物価とされてきた家賃に変化。上昇傾向は続くのか
これまで「岩盤物価」とも言われてきた家賃に、上昇の動きが見られています。賃貸経営にとっては収益改善の機会ともいえますが、この流れは今後も続くのでしょうか。その背景や要因について考えてみます。
家賃は他の価格より遅れて動く傾向
家賃は、地価などの資産価格と比べて、変動が遅れる傾向があるとされています。

過去40年の推移を見ると、地価は1991年頃にピークを迎えたのに対し、家賃はその後もしばらく上昇を続け、2000年代初頭にピークを迎えました。
また直近では、地価が2013年頃から上昇に転じたのに対し、家賃の上昇が明確になったのは2020年前後と、一定の時間差が確認できます。
背景にある「賃貸市場の構造」
このような時間差の背景には、賃貸市場の特性があります。
家賃は既存契約が積み重なって形成されるため、過去の水準の影響を受けやすい特徴があります。一方、売買価格は新たな取引ごとに水準が更新されやすく、変動が比較的早く表れやすいといえます。
さらに日本では、借地借家法により借主の権利が強く保護されており、入居中の賃料改定には一定の制約があります。このため、家賃は主に退去後の再募集時に見直されることが多く、結果として変動が緩やかになりやすいのです。
地価上昇が家賃に波及する可能性
足元では、低金利環境や資金流動性の高さなどを背景に、地価は上昇傾向が続いてきました。こうした動きは不動産価格全体の押し上げ要因となっています。この流れが継続すれば、遅れて家賃にも影響が及ぶ可能性があります。
次に直近の推移が分かるように過去15年間の地価公示価格と家賃指数の推移を拡大して図-2に示します。

家賃上昇はどこまで続くのでしょうか
家賃は過去の例でも、地価の動きに対して遅れて変動してきました。そのため、仮に今後地価の上昇が鈍化した場合でも、一定期間は家賃上昇が続く可能性が指摘されています。
もっとも、家賃は地域や物件条件、需給バランスによる影響も大きく、一様に上昇するとは限りません。
今後の動向を見るうえでは、地価だけでなく、人口動態や賃貸需要の変化、そして物件の立地にも注視する必要があります。
ご注意
※本記事は2026年3月30日時点の情報をもとに作成しています。
