No.29 注意すべき点を見極めて、しっかり活用しましょう!

相続時精算課税制度を活用した賃貸経営の節税対策とは?

 賃貸アパートや賃貸マンションを所有する場合、時にその価値が相続財産として大きな負担となることがあります。今回は、相続時精算課税制度を活用することで、贈与税と相続税の負担を軽減できるケースについて解説をしていきます。

相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫に財産を贈与する際に適用できる制度です。この制度を利用すれば、贈与された財産のうち最大2500万円までが非課税となります。ただし、贈与者が亡くなった際には、その贈与財産とその他の相続財産を合計した額に相続税が課されます。

 具体的には、例えば4000万円の財産を贈与した場合、2500万円を超えた部分に対して20%の贈与税がかかります。この場合、(4000万円−2500万円)×20%=300万円の贈与税が発生しますが、この300万円は後に相続税から控除されます。

賃貸物件の評価と税負担の軽減

 賃貸物件を相続時精算課税制度で贈与する場合、贈与時の評価額が基準となります。例えば、評価額5000万円の賃貸アパートを贈与し、その後の相続時に評価額が7000万円に上昇していた場合でも、相続税は5000万円を基準に計算されます。これにより、相続税の負担を抑えることができます。

 賃貸物件の家賃収入は、贈与された子や孫のものとなり、相続税の対象にはなりません。このため、賃貸物件を生前に贈与することで、家賃収入による相続財産の増加を防ぐことができるのです。

相続時精算課税制度利用時の注意点

 相続時精算課税制度を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  1. 【暦年贈与が利用できなくなる】
    選択届出書を提出すると年間110万円の基礎控除が適用されなくなります。また、一度選択すると撤回できませんので、注意が必要です。
  2. 【小規模宅地等の特例が使えない】
    小規模宅地等の特例は、被相続人が居住していた土地や事業用の土地を相続する際に適用される制度で、土地の評価額が最大80%割引されます。宅地の評価額が高額の場合には節税の効果も大きくなります。しかし、相続時精算課税制度を利用して贈与された財産にはこの特例は適用されませんので、どちらを選択するのか検討が大切です。
  3. 【価値の上昇が見込める不動産を選ぶ必要がある】
    贈与した賃貸物件の価値が下がると、相続税の負担が増える恐れがあります。例えば、贈与時の評価額が5000万円のアパートが相続時に3000万円に下がっていても、相続税は贈与時の5000万円を基準に計算されます。したがって、将来的に価値の上昇が見込める物件を選ぶことが重要です。

まとめ

 相続時精算課税制度を賃貸物件の贈与に活用することで、贈与税と相続税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、暦年贈与や小規模宅地等の特例の利用が制限されるため、事前に十分な検討とシミュレーションが必要です。適切な物件選びと専門家の助言を得て、効果的な節税対策を行いましょう。

ご注意

※この記事は2025年2月3日時点の内容です。最新情報は国税庁の公式サイトをご確認ください。