No.35 個人収入1,000万円超えは法人化が得?
個人オーナーが法人化する方法とそのメリット・デメリット
法人化とは、個人で所有する賃貸物件を法人に移し、法人として賃貸事業を運営する形態のことです。法人化にはメリットがある一方で、デメリットもあります。今回は、法人化についての解説を行います。
法人化の手順
個人が法人化を進めるには、まず株式会社や合同会社などの法人を設立する必要があります。その上で、個人所有の賃貸物件を法人に移転させる方法として、「売買」「現物出資」「賃貸借(サブリース)」の三つが挙げられます。
売買
法人が物件を購入する形を取るのですが、譲渡所得税や登録免許税が発生し、コストがかかります。
現物出資
物件を法人の出資金として組み入れる方法です。これには評価額の算定や税務手続きが複雑になる傾向があります。
賃貸借(サブリース)
比較的手軽で、オーナーが法人に物件を貸し出す形式です。所有権は個人に残るので、相続対策としては十分ではない場合もあります。
法人化のメリット
法人化の最大のメリットは税負担の軽減です。個人の場合、不動産所得は最大45%の所得税がかかります。一方、法人の税率は概ね20〜30%程度です。
また、法人化すると経費の範囲が広がります。例えば、車両、事務所を賃貸するだけでなく、家族を法人の役員や従業員とすることで、人件費を経費として計上でき、法人税が圧縮できます。
また、相続対策として法人化は有効かもしれません。
法人が物件を所有している場合は、法人の株式時価総額を計算し、持ち株比率をかけたものが相続財産となります。関連法案については、特に小規模宅地の特例の適用について確認しておきましょう(時価総額の計算はいろいろ複雑ですので、税務署に相談が有効です)。
物件を複数人で分けるのは難しいものですが【株】だと比較的容易に分けることが可能です。さらに、生前贈与を活用すれば、計画的な事業承継や資産移転が可能となります。このとき、税務署に事前確認することを推奨します。
法人化のデメリット
一方で、法人化にはデメリットもあります。法人設立時には登録免許税や司法書士への報酬が必要で、運営段階でも会計士への依頼費用や税務申告など、維持コストがかさみます。たとえ赤字でも、均等割りで年間最低7万円が課される点も無視できません。
また、個人事業主であれば、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算できますが、法人ではこのメリットが失われます。さらに、法人の場合は社会保険への加入が義務付けられ、固定費が上昇します。
法人の場合、個人とは異なり、不動産売却時に長期譲渡所得税の軽減措置を適用できず、売却益に対する税負担が大きくなります。その結果、売却後に手元に残る現金が個人所有の場合と比べて少なくなる傾向があります。
現金が少なくなるように見えると金融機関による融資審査の際に影響を及ぼす要因となる事も考えられますので、事前に金融機関に確認することをお勧めします。
まとめ
年間の賃貸収入が低い場合、法人化のメリットが薄れることも多いので、法人化を検討する際は、専門家と相談し、長期的な視点で判断することが重要です。
ご注意
※この記事は2025年3月17日時点の内容です。税に関する最新情報は国税庁の公式サイトをご確認ください。
